京王電鉄、「民泊」事業参入の勝算

自分達の持つ資源、鉄道と不動産を活かす為の投資。「民泊」という今までにないサービスに参入すること(ニッチ)で、自分達の持つ資源に新たな価値をつけて、接点を増やしチャンスを拡大していく。こういう考え方良いなと思う。サービスを利用したい人と、提供したい人は間違いなくいて、概要はできている。しかし、言葉の問題や維持管理清掃、紹介、商品への価値付けにおいて、できることは沢山ありそうだ。


京王電鉄、「民泊」事業参入の勝算
2016/1/21 5:30
 一般の住宅に有料で旅行客らを泊める「民泊」。米Airbnb(エアビーアンドビー)が火付け役となり、世界で需要が急拡大している新ビジネスだ。訪日外国人の増加を背景に日本でも解禁に向けた議論が盛り上がっているが、この分野に大企業としてはいち早く参入を表明した意外な企業がある。京王電鉄だ。「鉄道と民泊」という一見すると共通点が見えない組み合わせ。一体、どこに商機を見いだしたのだろうか。

京王は民泊でインバウンド消費の追い風をとらえられるか(都内の百貨店)
 参入の内容はこうだ。京王は民泊の予約仲介サイトを運営する百戦錬磨(仙台市)に昨年、10%出資した。百戦錬磨は既存枠内でできる民泊サービスを手がける。これまでは旅行者に対し、旅館業法などで認められた農家の空き部屋などを紹介し、農村体験ができる「とまりーな」という予約サイトを展開。昨年12月には子会社を通して都市部向けの民泊サイト「STAY JAPAN」も立ち上げた。規制緩和を促す国家戦略特区の特例を受け、民泊を認める条例が施行された東京都大田区でまず開始。当面、100物件以上の登録を目指す。京王は「STAY JAPAN」のサービス運営に協力する。「ノウハウを蓄積し、自社でも関連ビジネスを手がけていく」(京王の吉田智之経営企画部課長)考えという。
 関連ビジネスといっても、京王が予約サイトの運営に乗り出すわけではない。大きな商機としてとらえているのが物件管理だ。同社は傘下に京王不動産を抱えており、沿線を中心にマンションや戸建て住宅など約5000戸を管理している。不動産のリノベーション(大規模改修)会社もグループにある。
 民泊ではサービス利用者として外国人旅行者の場合が多い。宿泊客の募集、問い合わせやトラブルに対応するときに英語など外国語が必要になるケースも少なくない。さらに宿泊客が帰った後の清掃なども必要になる。個人が不動産投資の一環で手掛けるには意外に面倒なのが実情で、最近では民泊専門の不動産会社も相次いで生まれている。京王はグループを挙げればこうした需要をうまく取り込めるとみているようだ。さらに同社は「古い物件やオフィスを民泊で使えるようにリノベーションする需要も将来は取り込めれば」(吉田課長)と期待を寄せる。
 民泊事業が主力の鉄道事業にも好影響を与える可能性もある。沿線には高尾山や「サンリオピューロランド」など観光スポットも多く、訪日客の送客を促す効果も期待できるからだ。加えて、多摩ニュータウンなどの沿線住宅地では少子高齢化が進むエリアもあり、「将来は空き家とインバウンド(訪日客)を結びつける機能も果たせる」(吉田課長)。
 京王線は大田区を通っていないが、民泊を解禁する条例は都内の他の区でも広がりそうだ。京王は沿線で認められれば、順次、これらのサービスを展開する方向という。
 足元の業績は好調だ。2016年3月期の連結営業利益は前期比11%増の374億円となる見通し。全体の営業利益の4割強を鉄道など運輸業で稼ぐが、不動産業(同25%)、レジャー・サービス業(17%)の利益貢献度が高まっている。15年の訪日客が前年から47%多い1973万人に増えるなか、「民泊はインバウンド需要を取り込んで、各事業を底上げする一つの仕掛けになりうる」(国内証券)との声も聞かれる。昨年12月15日に参入を伝える報道が出ると、株価は大幅上昇し、同年18日には年初来高値を更新。株式市場の民泊への期待の高さをうかがわせた。
 民泊サービスを継続的に提供する貸し手は旅館業法の営業許可が必要だが、大半の貸し手は許可を得ていない。このため民泊解禁を巡っては特区だけでなく、厚生労働省と国土交通省の有識者会議でもルールづくりが進んでいる。新経済連盟(新経連)が宿泊客の消費なども含め「10兆円超の経済効果がある」と発表するなど、新ビジネスとして注目が集まる民泊。追い風を京王はどうとらえられるか注目だ。
(押切智

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